この度、本学会会員でありまた渉外理事でもある大阪大学の林克彦教授(生殖遺伝学)がタイム誌の「TIME100」に選ばれました。このTIME100は、タイム誌が毎年「世界で最も影響力のある100人のリスト」として発表しており、"Artists", "Icons", "Titans", "Leaders", "Innovators", "Pioneers"の各カテゴリがあり、林先生は"Innovators"のカテゴリで選出されております。
林先生のご業績につきましては、本学会会員で知らぬ人はいないと思われます。多能性幹細胞(ES細胞, iPS細胞)からの体外培養による配偶子形成の再構築系の研究では、文字通り他の追随を許さない、世界トップの研究成果を多数発表されています。昨年には、英科学誌Natureの「今年の10人」に選出されたことも、記憶に新しいところです。
と、ここからは私事も交えて、林さんと呼ばせていただきますが、林さんと私は2005年4月から英国ケンブリッジ大学のGurdon研究所Azim Surani研究室にてほぼ同時期にポスドクをしておりました。ご存じの方も多いと思いますが、Azimは1984年にゲノムインプリンティング現象を発見し、その後も多くの日本人ポスドクと研究を行っています。特に、現京大の斎藤通紀先生留学時からは生殖細胞の発生過程に関する研究で数多くのブレイクスルーを生み出しています。留学当時の林さんは、培養室に籠もりっきりで、とにかく深夜まで鬼のように実験をしていた記憶があります。また、当時から論文PDFをパソコン画面でさーっと読んでおり、未だに紙に印刷しないと上手く読めない私とはインプット量が雲泥の差でした・・・。私は2年半で帰国しましたが、林さんは4年間の留学中に多くの成果を出し、京大斎藤研に帰国後も、現在のご業績に繋がる研究成果をあげられています。
その後は2014年4月に九州大学大学院医学研究院教授、2021年9月には現所属である大阪大学大学院医学系研究科教授に着任され、その間にも本学会大会では何度もご講演いただいているところです。また、2026年6月に帯広で開催される第20回国際動物繁殖学会(ICAR2026)においても林さんはInternational Scientific Committee (ISC)の一員として、プログラム立案等で現在ご活躍いただいております。
と、紹介文なのに長くなりました。会員の皆様にお知らせさせていただくと共に、林さんのご研究のますますのご発展をお祈り申し上げます。
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(文責:SRD広報幹事、ICAR2026組織委員、東京農工大学:金田正弘)